大寒

 一月二十日からは二十四節季の大寒、一年でもっとも寒さが厳しいころです。日がしだいに長くなり、春へ向かう時期でもあります。三寒四温ということばもこの時期のものです。寒さだけではないよ、寒暖を繰り返しながらだんだん暖かくなるよ、という時期でもあります。

 七十二侯の大寒初侯は、款冬華さく(ふきのとうはなさく)です。蕗の花が咲きはじめます。凍てつく地の下で、春の仕度が着々と進んでいます。

 二十日は二十日正月。正月の祝い納めの日です。また、二十四日はお地蔵様の最初の縁日、初地蔵の日です。

 七十二侯の大寒次候は、水沢腹く堅し(みずさわあつくかたし)。沢の氷が厚く張りつめるころです。いかにも寒そう!

 が、春はもうすぐそこまで来ています。春隣(はつとなり)は冬の季語です。

 七十二侯の大寒末候は、鶏(にわとり)はじめて乳す。鶏が卵を産みはじめるころです。

 一月三十一日、正月の末日は晦日正月、晦日宵、晦日節(ぜち)などと呼ばれています。
 
 そして、大寒最後の日すなわち立春前日の二月三日は節分です。

 大寒をもって二十節季は一巡しました。ここを凌げばいよいよ春になります。あと少し!


  出典 白井明大=文・有賀一広=絵『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)