小寒

 年が明けたと思ったら、一月五日からは二十四節季の小寒(しょうかん)です。寒さが極まるやや手前の時期です。寒の入りのはじまりです。これから立春になる寒の明けまでまでのやく一ヶ月が寒の内です。

 七十二侯の小寒初侯は、芹乃栄う(せりさかう)。芹がすくすくと群れ生えてくるころです。

 春の七草。せり、なずな、ごぎょう(ははこぐさ)、ほとけのざ(こおにたびらこ)、すずな(蕪)、すずしろ(大根)。一月七日の人日(じんじつ)に、健康を願って、七草粥をいただきます。

 年が明けて初めて爪を切る日が、一月七日とされています。粥をつくるために、七草を浸していた水に爪をつけて柔らかくしてから切ると、一年間かぜをひかないといわれています。

 松飾りをつけておく期間のことを松の内といいます。関東では一月七日まで、関西では十五日までのところが多いようです。役目を終えた松飾りを燃やすのがどんど焼き。年神さまを天へおくります。

 七十二侯の小寒次候は、水泉(すいせん)動く。地中では凍っていた泉が動きはじめるころです。

 寒に入って九日目に雨が降ると、寒九(かんく)の雨といって豊作の吉兆とされています。もっとも厳しい冬の寒さの中にも明るい展望を見出します。

 一月十一日は鏡開きです。年神さまにお供えしたお下がりとして、木槌や手で鏡餅を割っていただきます。

 七十二侯の小寒末候は、雉(きじ)始めてなく。雉のオスがメスに恋して鳴きはじめるころです。

 一月一日を大正月、十五日を小正月といいます。旧暦では新年最初の満月の日です。小豆粥を食べる習わしがあります。また、正月も忙しく働いた女性たちがやっとひと息つけるころだから、女正月(おんなしょうがつ)とも呼ばれています。


  出典 白井明大=文・有賀一広=絵『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)