冬至

 十二月二十二日からは二十節季の冬至、一年でもっとも昼が短く夜が長いころである。これから日が伸びていくので、古代には冬至が一年のはじまりだったとか。

 植物も夜の長さ(昼の長さ)の変移を記憶して冬至を知ることができるそうです。凄いですね。個々の人間にはとてもできないことです。

 七十二侯の冬至初侯は、乃東生ず(なつかれくさしょうず)。うつぼぐさの芽が出てくるころです。

 烈しく吹く風のことを風巻(しまき)といいます。雪が降りしきる雪風巻は猛吹雪です。

 七十二侯の冬至次候は、麋角解つる(しかゆのおつる)。大鹿の角が抜け落ちて、生え変わるころです。

 十二月三十日は小晦日(こつごもり)、三十一には大晦日(おおつごもり)。つごもりとは、月が隠れる、月籠もり(つきごもり)のことです。旧暦では一日が新月なので月末はつごもりですね。新暦ではぴんときませんね。

 歳の市、正月を迎えるための買い物客で賑わいます。

 七十二侯の冬至末候は、雪下麦を出だす(せつかむぎをいだす)。降り積もる雪の下で、麦が芽を出すころです。

 旧暦では一月一日を大正月(おおしょうがつ9)、十五日を小正月(こしょうがつ)として祝いました。

 初日の出の直前の茜空を、初茜といいます。夜の暗がりから白み、明るみ、やがて茜色に染まる東雲(しののめ)の空は、日の出より先に元旦の訪れを告げます。

 新暦では、新しい一年がはじまります。 


  出典 白井明大=文・有賀一広=絵『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)