立冬

 十一月七日からは二十四節季の立冬です。冬の気配が山にも里にも感じられてくるころです。木々の葉が落ち、冷たい風が吹き、冬枯れのようすが目立ってきます。早くも季節に「冬」の文字があらわれてきました。

  七十二侯の立冬初侯は、山茶(つばき)始めて開く。山茶花(さざんか)の花が咲きはじめるころです。ツバキなのかサザンカなのかややこしいですが。

 七十二侯の立冬次候は、地始めて凍る。地が凍りはじめるころです。霜が降り、氷が張り、季節は冬を迎えます。

 春に山から里へ下りてきた田の神さまを十六個の団子でもてなしましたが、今度は山へ帰る神さまを見送ります。豊作への感謝を込めて、農家では十六個の団子をお供えします。

 七十二侯の立冬末候は、金盞香ばし(きんせんこうばし)。水仙の花が咲き、かぐわしい香りが漂うころです。


  出典 白井明大=文・有賀一広=絵『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)