霜降

 十月二十三日からは二十四節季の霜降(そうこう)です。朝夕ぐっと冷え込み、霜が降りるころです。

 七十二侯の霜降初侯は、霜始めて降る。霜がはじめて降るころです。

 十一月一日(旧暦九月十三日)は「後(のち)の名月」とも言われる十三夜です。十五夜では芋を供えますが、十三夜は栗や豆です。また、十五夜を眺めて十三夜を見ないのは、片月見(かたつきみ)として忌み嫌われました。

 七十二侯の霜降次候は。霎時施す(しぐれときどきほどこす)。時雨が降るようになるころです。ふいに強い雨が降りかかり、見る間に去っては青空が広がる時雨は、晩秋から初冬にかけての空模様です。

 七十二侯の霜降末候は、楓蔦黄なり(もみじつたきなり)。紅葉や蔦が色づくころです。秋の山が紅葉するようすをを「山装う(やまよそおう)」といいます。ちなみに春の山のさわやかな初々しさは「山笑う」といいます。夏の山のあおあおとしてみずみずしいさまは「山滴(したた)る」、冬の山の枯れた寂しさは「山眠る」といいます。

 霜降で秋はおしまい。つづいて冬がやってきます。 


  出典 白井明大=文・有賀一広=絵『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)