処暑

 八月二十三日からは二十四節季の処暑です。暑さがすこしやわらぐころです。朝の風や夜の虫の声に、秋の気配が漂い出します。

 七十二侯の処暑初侯は、面柎開く(わたのはなしべひらく)。綿の実を包む萼が開くころです。

 七十二侯の処暑次候は、天地始めて粛し(てんちはじめてさむし)。ようやく暑さが収まりはじめるころです。夏の気が落ち着き、万物があらたまる時期です。

 新暦の九月一日は立春からかぞえて二百十日目、雑節のひとつ二百十日です。八朔や二百二十日とともに、嵐の来る農家の三大厄日です。

 野を分け、草木を吹き分ける荒々しい風は野分(のわき)です。台風などに伴う暴風のことをいいます。

 七十二侯の処暑末候は、禾乃登る(こくものみのる)。田に稲が実り、穂をたらすころです。禾(のぎ)とは、稲などの穂先に生えている毛のことです。

 秋のはじまりですね。


  出典 白井明大=文・有賀一広=絵『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版) 2016-10-01 23:09:04 2016-10-01 23:09:04 この下書きを編集編集