処暑

 八月二十三日からは二十四節季の処暑です。暑さが少しやわらぐころです。朝の風や夜の虫の声に、秋の気配が漂い出します。

 七十二侯の処暑初侯は、綿柎(わたのはなしべ)開く。綿の実を包む萼が開くころです。種を包む綿毛をほぐし、綿の糸を紡ぎます。

 七十二侯の処暑次候は、天地始めて粛(さむ)し。ようやく暑さが収まりはじめるころです。夏の気が落ち着き、万物が改まる時期とされています。

 八月三十一日は立春からかぞえて二百十日。嵐の来る厄日です。

 野を分け、草木を吹き分ける荒々しい風を野分(のわき)といいます。台風などに伴う暴風です。

 七十二侯の処暑末候は、禾乃登る(こくものみのる)。田に稲が実り、穂をたらすころです。禾(のぎ)とは、稲などの穂先に生えている毛のことです。稲や麦、稗、粟などの穀物の総称でもあります。

 多少の出入りはあるものの、夏から秋へ、季節は確実に変わっていきます。


  出典 白井明大・有賀一広『日本の七十二侯を楽しむ』東邦出版