啓蟄

 三月五日からは二十四節季の啓蟄です。陽気に誘われ、土の中の虫が動きはじめます。一雨ごとに春になっていきます。

 七十二侯の啓蟄初侯は、啓虫戸を啓く。冬ごもりしたいた虫が、姿を現わし出すころです。

 旧暦の二月八日、新暦に換算するとことしの場合三月十六日は、事始めの日です。一年の祭事や農事をはじめる日です。旧暦十二月八日の事納めと対をなします。

 啓蟄次候は、桃始めて笑う。桃のつぼみがほころび、花が咲きはじめます。

 啓蟄末候は、菜虫蝶と化す。冬を過ごしたさなぎが羽化し、蝶に生まれ変わります。

 暦日三月十六日は十六団子の日です。田の神さまが山から里へ下りてくる日で、十六個の団子を作ってもてなします。


  (出典)白井明大『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)