雨水

 二月十九日からは二十四節季の雨水です。降る雪が雨へと変わり、氷が解け出すころです。農耕の準備をはじめるころでもあります。

 七十二侯の雨水初侯は、土脈(どみゃく)潤い起こる。早春の暖かな雨が降り注ぎ、大地がうるおいめざめるころです。古くはこうではなく、獺(かわうそ)魚を祭る、と言っていたそうです。「獺祭」ですね。

 雨水次候は、霞(かすみ)始めてたなびく。気象学では視程一キロ以下のものが霧、それ以上が霞だそうです。霧はたちのぼり、霞はたなびきます。また、夜の霞は朧(おぼろ)というそうです。あなややこし。

 雨水末候は、草木萌え動く。しだいに和らぐ陽光の下、草木が芽吹き出すころです。

 新しい季節も二つ目となり、(暦の上では)すっかり春めいてきました。


 (出典)白井明大『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)