霜降

 十月二十四日からは、二十四節季の霜降(そうこう)です。朝夕にぐっと冷え込み、霜が降りてくるころです。はじめは山のほうで、十二月に入れば平野にも霜がやってきます。

 七十二侯霜降初侯は、霜始めて降る。霜がはじめて降りるころです。旧暦九月十三日は十三夜。仲秋の名月の後(のち)の月と呼ばれ、月見を楽しむ日です。新暦では、ことしは十月二十五日です。なお、ことしの仲秋の名月は九月二十七日でした。十五夜を眺めて、十三夜を見ないのは、片月見(かたつきみ)として忌み嫌われました。

 霜降次候は、霎時施す(しぐれときどきほどこす)。時雨が降るようになるころです。さあっと降っては晴れる、通り雨の小気味よさ。

 霜降末候は、楓(もみじ)蔦黄なり。紅葉や蔦が色づくころです。秋の山が紅葉するようすを、「山粧う」といいます。ちなみに春の山のさわやかな初々しさは『山笑う」。夏の山のあおあおとしたみずみずしさは「山滴(したた)る」。冬の山の枯れた寂しさは「山眠る」。おもむきのある言葉ですね。

 それはいいのですが、秋は霜降でおしまい。おあとに立冬が待っています。