本を買う
買う本を選ぶとき、以前は〝迷ったら買う〟を旨としていた。あとは予算との相談。そうして買った本は、それなりに読むことができていた。
ところが、最近は買う買わないの判断基準がひとつ増えた。それは、〝死ぬまでに読めるか〟という判断である。これがかなり効いている。今までは、まだ残り時間を気にするほどではなかったのでとりあえず買って、あとは読みたくなるときが来るのを待っていた。
ところが老いてくるとそうはいかない。いまある積ん読本を差し置いて読むほどの本かどうか、というのが重要な要素となってくる。
もっともな判断基準である。が、弊害もある。重たい本はどうしても選からもれてしまう。近ごろ買った本を振り返ると軽い本がほとんどである。
一方で、これまでに読んだ本でよかったものをもう一度読んでみようという気持ちも起こってくる。これも人生の店じまいのひとつだろう。となると、新たに読んでみようとする本がますます減ってくる。
昔に戻って、気になった本は極力購入。死ぬまでに読むことができればラッキ−。読めなくとも本人はそのこと知ることはない。といった、心境になってみようか……