死んでいるところを見られたくない

 自分ではどうにもならない姿はあまり他人に見られたくない。うっかり転んで、打ち所が悪くて刹那的にではあるが動けない状態にあるとき。入院していて、治療器具で拘束されているとき。こんな姿はあまりひとには見られたくない。

 その最たるものが死んでしまったときの姿である。

 死体になって横たわっているとことはあまり人に見られたくない。さらしものになっているようで嫌だ。嫌だけど、死んでしまっているので隠れるわけにはいかない。「見るな」とか「見ないで」と喋るわけにもいかない。つらいなあ。

 もっとも、死ぬとなればそれくらいの覚悟はできているだろう。どうにでもなれ、と居直った半ばやけくそだろうけれど。

 いやいや、死んでしまったらそんなこと考えることもないわな。なにを心配してるんだか。