甘露

 二十四節気寒露。露が冷たく感じられてくるころである。空気が澄み、夜空にさえざえと月が明るむ季節です。秋の日の釣瓶落とし。日が傾いてきたかなと思うと、あっという間に空が茜にそまり、日が沈んでしまいます。散歩や自転車では帰路につく時間に要注意です(自戒)。

 七十二候の寒露初侯は、鴻雁来る。雁が北から渡ってきます。旧暦の九月九日、新暦の十月十三日(今年)は重陽節句、すなわち菊の節句です。長崎のおくんちもこの旧暦九月九日だそうです。〝九日=くんち〟ですね。ししゃも、しめじが旬です。ナナカマドの紅葉。雁が渡ってくるころに吹く北風を雁渡し呼びます。

 寒露次候は菊花開く。はたはた、栗が旬です。菊の花が咲くころに青空が晴れ渡ることを菊晴れといいます。

 寒露末候は蟋蟀(きりぎりす)戸に在り。蟋蟀が戸口で「ギーッチョン、ギーッチョン」と鳴くころです。鯖が柿が旬。真鶴も渡ってきます。鞍馬では火祭りが行われます。

  出典 白井明大・在賀一広『日本の七十二候を楽しむ』(東邦出版)