さざえさん、ののちゃん的時間
漫画のさざえさんやののちゃんは歳をとらない。季節感はあり、一年のなかでは成長しているのだが、一年のどこかで元にもどってしまう。
新学期が始まり、夏休みがあり、クリスマス、正月があって、また新学期になると前と同じ学年である。
サザエさんを読み始めたのは子どものころ。なので、波平さんはすごい年寄りに見えた。ますおさん、さざえさんも目上のおとなだった。
やがて歳が経ち、いつの間にか波平さんの歳を越えてしまった。なのに、依然として波平さんは自分より年上、老人に思ってしまうからおかしなものだ。いや、それが正常なのかもしれない。おかしいのは歳を取らない漫画のほうなのだろう。でも、なんかヘン!
だけど、実際の人生もそうであったら楽しだろうな。顔ぶれに入れ替わりはなくなってしまうが、これから死ぬ人もなく、生活が破綻することもなく、良くもならないが安定した生活が繰り返される。安心して、ささやかな生活を楽しみ、大いなるマンネリの中にもときには些細な発見もあり(小さな新規性もなければ漫画は続かない)、面白おかしく不安もなく気楽に日々を過ごせそうだ。これは良いことだ……と思う。