あっぱれ野田前総理!?

 参議院選挙が終わった。結果は予想通り、といってよいのではなかろうか。

 自民党圧勝の最大の功労者はなんといっても民主党の野田前総理だろう。

 総理とした彼のやったこと。一見すればそれは決して許してはならない滅茶苦茶ではあるが、綿密に計算されたシナリオ通りであるようにも思われる。いくらなんでもあの滅茶苦茶は思いつきではないだろう。計算づくでなければ、一見でたらめにみえるあんなことをやらかすことはできなかっただろう。

 あっという間の政権交代のあと、鳩山総理はそれなりに公約を実行に移そうとしていた。むろん、そう簡単に運ぶはずはなく、苦労していた。挫折してしまったのものがほとんどではあるが、ある意味それはいたしかたないことかもしれない。なのに、苦労知らずのお坊ちゃん体質がそうさせたのか、あるいはどこからか強烈な圧力があったのか、あっさりと身を引いてしまった。

 菅総理に代わったら、東日本大震災。とりわけ原発事故に対しては有効な対策が打てないまま、総理交代。菅政権はこれがすべてであろう。いや、もうひとつあった。露骨な小沢排除。

 そして野田総理。あんた誰? という総理である。やることはハチャメチャ。

 まずは、増税民主党が政権を取るに至った公約は、非増税を前面に掲げていた。それなのに、増税に命をかけるというのだから、なにをかいわんや。なんの権限があって、こんな政策を打ち立てることができるのか。

 官僚や自民党がやりたくでもなかなか実施に踏み切れなかったことをいとも簡単にやってしまった。安易にそんなことをやったらまたまた人気を落としてしまう。

 官僚や自民党はさぞや喜んだことだろう。自分たちがやりたくてもできなかったことをやってくれ、それに加えて、この政策により、みずから墓穴を掘り、次の選挙(前回の衆院選、そして今回の参院選)では、自民党に政権が帰ってくることがほぼ確実になったのだから。

 これだけでも十分だが、さらにおまけとして、党内をかき回し、小沢一郎一派を追い出したのをはじめとし、民主党を完璧にぶちこわしてしまった。民社党を実体無きところまで落とし込んでしまった。これによってますます自民党議席が増える。自民党が嫌だといっても、そういうひとたちの受け皿がなくなってしまったのだから。

 民主党野田総理がなぜそんなことをしたのだろうか?

 ここで、ふと思ったのが、野田総理というのは、官僚や自民党が密かに放った工作員だったのではなかろうか、という疑念。官僚・自民党が、民主党内に送り込んだ工作員トロイの木馬であったということ。

 そうであるならば、野田総理はみずからの使命を完璧に果たしたことになる。自民党がやりたくともできなかった政策を実現し、その結果の不人気は民主党が引き受ける。さらには、その党内に内乱を引き起こし崩壊させてしまった。その成果が前回および今回の選挙に如実に現れている。ただのドジョウではなかったようだ。意外にも大地震の元凶となる大ナマズだったのかもしれない。

 ところで、野田前総理、いまどこでなにをしているのだろう? えっ、まだ衆議院議員やってるって。ああ、そうでしたね。前回、本人は当選したのだった。そろそろ、自民党に復帰するのかな? それとも、功労金をいっぱい貰って悠々自適の老後生活に入るのだろうか。