続・椋鳥

 お彼岸も過ぎ、日が落ちるのも随分と早くなってきた。日中は汗ばむこともあるが、夕刻になるとぐうんと涼しくなってきた。夏の終わりが過ぎ、いよいよ秋到来であろう。台風もちょくちょくやってくる。台風が去るごとに季節が変わってゆく。

 駅前に小さなロータリーがあり、プラタナスの大木が一本立っている。そう、ここが椋鳥のねぐらである。

 日が落ち、涼しい風が吹くなか、姿は見えねど、プラタナスの茂った葉の中から、ちゅんちゅんというさえずりが騒々しく聞こえてくる。

 一陣の風が吹いたかのようなざわめきが起きると、椋鳥の編隊飛行の始まりである。ところで、この編隊飛行はなにをしているのだろうか? 単なる飛行訓練にしか見えないのだが。それはさておき、

 日没、涼風、この寂寥感があってこその椋鳥である。騒々しいさえずりもどことなくさびしさがひそんでいる。夕暮れの空にシルエットが映る編隊飛行もしかり。

 ことしもまた、椋鳥の季節である。このまま寂寥感がまし、また、耐え難い冬がやってくる。以前ここに書いたときは椋鳥にはまだ早すぎるような気がしたが、いまはまさに椋鳥が似合う季節である。