キレるひと

 近ごろ、大声で怒鳴り散らしているひとを良く目にする。

 役所の窓口やファーストフード店の店頭などで、傍若無人に大声を張り上げ、なにか怒りを表している。

 対応が遅いといっては怒り、ちょっとしたミスを指摘しては怒り、また、ときには持論を声高に説教する。

 皆さん、自らには非はなく、まあ、自身の意見は絶対に正しいと思っている。それが証拠に聞く耳は持たない。一方的にまくし立てる。

 ん? 待てよ、一方的にまくし立てるということは、もしかしたら、反論されることを恐れているのかもしれない。もともと理論武装しているわけではない。理路整然と反論されたら勝ち目がないと思っているのかもしれない。だから、反論の余地を与えないよう、一方的にしゃべりまくる。

 大声で喋るのも相手を圧倒して反論を封じ込めるため。

 なんと自信の無いひとたちなのだろう。自信がないなら普通の話しかたで意見を述べればよいのに。まあ、そんなことしたら、ますます自信を喪失してしまうだろうけれど。

 そうそう、キレるパターンのひとつとして、最初に自らがミスを犯し、それをカバーするために、相手のミスなどを大声でわめき立てるケースも少なくない。これなんか、状況がわかってしまうと、かえって可愛そうになってしまう。

 それともうひとつ。そのキレるひとなんだが、血気盛んな若者よりも、本来なら分別あってしかるべき、それなりの年齢のかたのほうが多いのが気になる。かなり高齢の斬れるひともいる。大丈夫だろうか。

 ところでこの人たち、普段の生活や仕事のなかでもこんなに怒っているのだろうか。それで生活なり仕事がなりたっているのだろうか? それとも、怒るのは自分が客など強い立場のときだけなのだろうか。もし、立場に寄って代わるとしたら、ますます惨めにみえてしまう。