夏の夕暮れの寂寥感

 夏の夕暮れというのはどことなくうら淋しい。家にいればそうでもないのだが、外を歩くとそんな気持ちになってしまう。

 まだまだ蒸し暑さは続いているものの、昼の酷暑に比べれば雲泥の差がある。挑戦的、圧倒的な太陽の力も夕方になると大分減じてくる。生命の衰退のようなものを感じてしまう。この変化に、なぜか寂寥感を感じてしまう。

 海岸へ出てみれば、昼の賑わいもなく、また海も穏やかにゆったりと寄せては帰している。

 夏の夕暮れはまだ明るい。仕事を終えたひとたちがバスから降りてくる。自分はきょう一日なにもせずフラフラしていて、この時間もフラフラ歩いているのに、このひとたちはきちんと仕事を片付けて帰ってきたのだ。そう思うと、空しさとか、罪悪感のようなものを感じてしまう。冬ならば、同じ時刻でもあたりは暗くなっているのでこの時間にあるくことはない。なのでこんな感覚は湧いてこない。

 夏だけの感覚であろう。