蝉時雨

 ことしもまた、いつのまにかセミが鳴き始めている。

 いつの頃からかは記憶が定かではないが、暑さの始まりを知らせるアブラゼミの暑苦しい鳴き声を聞かなくなってしまった。

 アブラゼミとは少し違う、シャアシャアという声が聞こえる。これが新参のクマゼミなのだろうか。

 その、シャアシャアという声よりひときわ目立つ声で、すでにミンミンゼミが鳴き始めている。アブラゼミが減り、変わってミンミンゼミが幅をきかすようになってきたのだろうか。かつては、アブラゼミ→ミンミンゼミ→ツクツクホウシとそれぞれが一定期間を占めながら順を追っての登場となっていたが、ことしはいきなりミンミンゼミである。

 いずれにせよ、夏は真っ盛りである。

 夏の終わりを告げるはかなげな、ツクツクホウシの声はいつまでも聞きたいものだ。アブラゼミのように衰退しないことを願う。