夏の夜の天敵登場

 暑くなってきた。夕方、庭に出たところ蚊の襲撃を受けた。今シーズン初の天敵との遭遇である。

 とにかく、蚊が苦手だ。それなのに人一倍刺されやすい体質ときている。たまったものではない。

 でもまあ、刺されるのはまだ良い。一番やっかいなのは寝入った頃に耳元で聞こえる羽音。思わず自分の耳を叩いてしまうが、そんなことでやられる敵ではない。そのときすでに数カ所痒くなっている。

 狂ったように殺虫剤をまき散らす。このときばかりは環境うんぬんなんてことはまったく考慮外。自分が吸い込むこと覚悟の上で殺虫剤をまき散らしたあとは、さされたところへかゆみ止めをどぼどぼとかける。こんなことをしているうちに、ばっちりと目が覚めてしまう。にっくきは蚊の野郎である。いや、問題はメスの蚊だ。

 蚊も馬鹿である。まったく進歩がない。血を吸っても痒くはならず、また、耳元で羽音を立てることがなければ、こんなに嫌われずに済むものを。痒くもうるさくもなければ、これくらいの血はケチらず差し上げるのだが。痒みと羽音、蚊にとっていったいどんな効果があるのだろう。さっさとなくせばよいのに。それはさておき、

 毎年、繰り返す天敵との格闘である。

 最近、歳のせいか、被害が減ったようなきもする。代わりに吸われる人がいると言うことだ。蚊にしても若い新鮮な血のほうがよいのだろう。身代わりには悪いけど、これは良いことである。