未来はない

 現在が宇宙時間のどの辺りに位置するのか? そんなことはまったくわからない。時間軸の終点、すなわち宇宙の終焉がわからないから? いや、それはそうだが、それが理由ではない。

 というより、時間軸の何処にいるのかは、はっきりわかっている。それは、……、現在こそが時間軸の一番端っこ、最先端に位置しているのだ。それはなぜ。

 つまり、時間というのはどんどんと増えているのだ。その一番増えたところが〝現在〟なのだ。いまのところこれより先はない(まだ存在しない)のだ。

 つまり、今の時点では未来はない。未来になれば未来が存在する。なんだかわかりにくいことだが。

 これからさらに時間が増えていく。増えた先端がその時点での現在。たったいまの〝現在〟は延びた時間軸の途中、つまり過去となる。

 時間軸はどんどん伸びていく。その一番端っこ、すなわち終端が現在である。

 じゃあ、一番の始まりは? それはビッグバンだかの宇宙の始まり。それまでは時間も空間もなかった。あるとき、初めて時間ができて、現在に至るまでどんどん増えてきた。これからも増えることだろう。だけどどれくらい増えるかはわからない。つまり、未来の量を推し量ることはできない。

 と、こんなことを考えていたら怖くなってきた。時間にしろ、空間にしろ、また、スケールの問題にしても、宇宙の話は、わたしにとっては考えたくない事柄である。わたしは空間も時間もなかったこと、それらができてどんどん増加していること、そしてそれらの規模のことなど、どれをとっても想像すらできないのだ。理解することはもちろんのこと、感覚的にすらわからないのだ。