妬み

 最近ひとを妬むようになっていけない。

 他人と比べることなど、百害あって一利なしであることは、〝頭の中では〟十分に承知しているのだが、現実にはそうはいかない。そう簡単には悟れない。

 近ごろの妬みの対象は、豊かな老後を迎えられるひと。これがまた、思いのほかたくさんいるから困ってしまう。

 これらの連中を現役時代は、あざ笑い憐れに思ったりもしたことがある。自らを売り払って会社人間になってしまっていると。がそれはとんだ見当違いだった。その会社人間の方が、豊かな老後を過ごすことができるのだ。経済的には当然のことかもしれないが、趣味の面でも豊かに過ごすことができる。趣味を実践するには経済的なゆとりの有無が大いに影響するのだ。

 会社人間になることを嫌悪していたわたしが、あこがれていた生活に、なんと、今になったら、会社にどっぷりつかっていた奴らの方が近くにいることがわかったのだ。

 我が人生、とんだスカタンを冒してしまった。と、反省するよりも、うまく泳いできた奴らを妬んでしまう。これではいかんのだが。