封印

 前回のうまいもん残しとにているようで少し違う〝封印〟。

 わたしはいくつかの事柄を封印している。

 ある特定の落語を聴くこと、ある作家の作品を読むこと、かつて読んだ本の選択的再読などなど。

 なぜ封印しているかというと、これらはすごく気持ちの好いことなので、それにふさわしい環境下で実行したいがためである。

 つまり、嫌な気分とか、ほかに気がかりなことがあるような状況下で事項してしまうのはもったいないからだ。

 ある意味ストイック過ぎるかもしれない。いづれも二度でも三度でも繰り返せることばかりである。そんな絶好の機会を待たずとも、気が向いたときに実行しても減るものではない。

 それなのになぜ手をつけないで後生大事に抱えているのか? これもまた性分なのだろう。まあ、それはそれで良いかもしれない。

 ただし、絶好の機会が訪れぬまま、実行することなく、この世をさるようなことはしたくない。どこかで見極めなり妥協が必要かも。