定年年齢

 わたしがサラリーマンになったころの定年は55歳だった。22歳で入社して、あと33年も勤めるのかとうんざりしたものだった。

 ところが、その55歳に近づくころ、定年は60歳に伸びていた。もっとも、わたしは諸般の事情で57歳になった途端に第一次リタイアをしてしまったが。

 そして、遠からぬうちに65歳定年になろうとしている。

 さらに、その先、70歳まで延長されるのも時間の問題ではなかろうか。

 長く、元気で働けるのは〝ある意味〟良いことであろう。

 だけど実態は、そこまで働かなければ生活できない、ということである。これは悲しい。とても辛い社会情勢である。

 寿命が伸びた分、人生を楽しむ時間が増えたと思いきや、働く時間が伸びただけとは。

 わたしも経済的事情により、ふたたび職に就かざるをえなかった。おそらくは65歳くらいまでは働くことになりそうだ。

 57歳から一年半、フリーで過ごすことができたのは、貴重で楽しいいっときであった。そんな時間がずっと続くと思っていたのだが、大いなる思惑違いであった。