奇病

 歳をとるとこれまで経験しなかった症状が発症することがある。最近もまた……。ただし、これは二度目。十年ちょっと前に一度被ったことがある。

 ほっぺたの内側にこりこりっとした感触を覚える。まあ、ニキビのような感じだ。これができるのはさほど珍しくはない。通常は二三日でしこりが消え、それでおしまい。

 ところがそうはいかないことがある。それが今回で二度目。しこりの周り、ほっぺたの内側に膿がたまってくる。穴が空けばそこから出て、治まるのだろうけど、あいにく出口がない。膿は溜まるいっぽう。

 ほっぺたは熱をもち、やっかいなことにどんどん腫れてくる。出口のない膿はどんどんたまり、ほっぺたはますます膨らむ。顔が左右非対称になり、腫れているほうのほっぺたは赤くピッカピッカ。ほっぺたに引っ張られて口角が片方はあがり、片方はさがる。

 前回は相当にひどかったが、幸い今回はそこまではいかなかった。前回は麻酔もかけずに太い注射器で膿を吸い出し大変な思いをしたが、今回は外科治療はせず抗生物質を飲んだだけ。それでなんとか治まった。やれやれ。

 年齢を重ね、それなりに人生経験も積んできたつもりなのに、老化というのは、いまだ未経験の目新しい分野なので。この先も何が起こるかわからない。やっかいだなあ……。