ウキウキする季節……なんだけど

 桜も散ってしまった。ことしの咲き始めはまったく気がつかなかった。つぼみが膨らんでいる様子は目にとまらなかった。ある日突然、満開の光景が目の前に広がった。そのときはじめて季節を認識した。

 暖かくなり、日も長くなり、すごく好い季節になってきた。気持ちもうきうき、はずんでくる……はずなんだけど、どうもそうはならない。

 ふーん、桜が咲いたか。それで終わってしまう。沈んではいないが、気分は落ち着いたまま。躍動感がない。

 これもひとえに、地震津波そして原発事故の影響だろうか。いや、原発がなければ、悲惨な状態の中でも、巡ってくる季節を見て、復興の息吹を感じることができただろう。が、原発事故という、完全な人為事故、身勝手な私利私欲から発生した事故を消し去ることはできない。うっとうしい季節になってしまった。