余生

 「余生」という言葉を〝余った生(=命)〟と解釈するとつまらないものになってしまう。〝余った命〟などではない。これから大いに楽しむべき、これからが本当の〝生〟なのに、と言いたくもなる。で、「余生」という言葉は嫌いだった。

 が、見る方向を少し変えてみると、様子も変わってくる。まわりから見て、あるいは人類という観点から見ると、〝すでにやるべき事を終えたあとの生〟〝義務(デューティ)を果たした後のオフ・デューティの時間〟と捉えると随分と違ってくる。

 公に認められてオフ・デューティな時間なのだから、好き勝手に使ってやろう、そうしてもなんら後ろめたいことのない時間である。

 もともと、「余生」という言葉や字面はともかくとして、その持つ意味はとても素敵な時間である。

 「老後」という言葉も、〝老いたあと〟と解釈してしまうとつまらないものになってしまう。これは〝仕事(稼ぐこと)を終えたあと〟といった意味合いであろう。

 もう少し、直感的・直接的にわかる言葉は無いだろうか?