民間放送

 地震から一週間が経って、テレビは少しづつ地震以外の番組も流すようになった。

 が、なんとなくこれまでとは様子が違う。騒々しい番組を自粛してていることもある。だけどそれだけではなさそうだ。しばらく見ていて気がついた。

 コマーシャルが無いのだ。

 コマーシャルが流れていないことにすぐには気がつかなかったのはどういうわけだ? コマーシャルを無意識のうちに無視していたのかもしれない。なので、無くても気がつかない。それはさておき、

 しかし、コマーシャルが無いと時間調整が難しいようで、番組の繋ぎには特殊なコマーシャルが流れている。すべてがACジャパンのコマーシャル。ACジャパンというのは、公共広告機構が改名した組織であるらしい。いわば一社のコマーシャルだかが繰り返し流れている。むろん、種類はそんなに多くはない。同じ映像を何度も何度も見ることになる。これは少し危険かもしれない。これもさておき、

 ふと考えたのだが、民間放送というのは、コマーシャルの放映料をほぼ唯一の収入源としている。番組を作るには莫大な費用がかかる。スポーツ中継などのように、制作費の他に膨大な放映権を支払っている番組もある。大手放送局社員は高給取りであるらしい。これらが全部企業の広告費でまかなわれている。

 どういうわけか、そのことにいままで気がつかなかった。全国の民間放送の収入は一体いくらくらいなのだろう。NHKの何倍? 

 その金額は、企業が広告のために使う金額である。広告というのは、非生産的なものである。極論すれば、無駄な費用と言えなくもない。そのためにこんなに費用を使っているのはよいのだろうか? この費用ををなくせば、物価は相当に安くなるはずだ。

 物価が安くなるのは良いことである反面、テレビがNHKだけになってしまうのは、つまらなくもあり、危険でもある。むずかしいところだ。

 せめてくだらない番組はやめて、その制作費を節約し、その分の広告費を減らすというのではどうだろうか? これもまた妙案には非ず。くだらないかい否かの判断がむずかしい。へたすると言論規制に繋がってしまう。それはそれで問題だ。

 うーん、やっかいなことに気がついてしまったわい。