妬み

 高校同期生のメイリングリストに参加している。いろんなひとがいろんなことを書いているのだが、最近増えてきたのが、退職後の、いわゆる〝サンデー毎日〟の楽しそうなレポート。

 当たり前だが、同期生はみな同い年で、数年前に還暦を迎えている。

 六十歳で定年退職したひともいれば、雇用延長や六十五歳定年の会社でまだ働いているひともいる。定年で辞め、別のところへ再就職したひともいる。

 六十で定年退職し、〝サンデー毎日〟を過ごしているのは、在職中にかなり出世したひとたちに多い。大企業の部長クラスくらいまで出世し、定年少し前に(退職金をたんまりもっらて)一旦退職し、関連会社へ出向。ここで役員やら社長の肩書きを得る。そして六十で退職。二度目の退職金を受け取る。

 かれらは、給与も格別に高かったから年金はたっぷり。退職金もたんまり。少なくとも、老後の経済は心配ない。病気になって保険外の治療を受けてもびくともしない。

 かれらが現役のころ、その会社人間振りを憐れんでいたこともある。給与の高さはその見返りなので、うらやましくもなかった。

 妬みを感じるようになったのは、仕事を辞めたあとである。お金の心配がないので、彼らは好き勝手なことができる。お金をふんだんに使っても平気だ。

 お金のことはともかくとして、いまになって自由に時間を使うことができるのは彼らである。現役のころに多少我慢して勤めた結果、老後に自由時間を獲得することができた。

 現役のころは、会社に執着しない分、気持ちの上だけでは優位性を感じたりもしていたが(いわれのない優位性ではあるが)、いまとなっては、まったく惨めなものである。お金はもちろん、時間も彼らのほうがたくさん持っている。こちらの優るところは何もない。

 かれらの、メールを読むたびに嫉妬、妬みを感じ、惨めになってしまう。悪いことに、かれらはメールを書く時間も手にしている。なので、そんなメールが増えている。やれんのう……。