朝寝坊

 近ごろ、休みの朝の起きる時間が遅くなっている。

 もう少し若いころは、学校やら勤めやらでたまった疲れを癒すため、日頃の睡眠不足を補うため、休みの日は遅くまで寝ていた。まあ、これは大げさに言えば、生命の維持のための必然的なことだった、と言えなくもない。

 だが、いまは違う。さほど疲れもストレスもたまってはいない。睡眠時間もそこそこ足りている。休みの朝も、それなりの時間に目が覚める。ここで起きようと思えば、無理なく起きることができる。

 だけど、起きない。それはなぜ? 折角の休みなのに早く起きるのはもったいない、という意識が働いてしまうのだ。わけのわからない意識ではあるが。

 そう思ってしまうとからだが動かない。布団の中でじっとしていれば当然ながら二度寝に入ってしまう。次に目が覚めるのは九十分後くらいあと。たまには四十五分くらいのときもある。これがわたしの睡眠の周期のようだ。

 すると確実に一日が短くなってしまう。さらに昼寝もする。ときには散歩をするとそれだけで日が暮れてしまう。

 かくして、折角の休みが何もせぬまま、あっという間に終わってしまう。人生の貴重な残り時間が減っていく。凡人の弱さかな。