反省

 現役のサラリーマンのころ、「年金」には考えが及ばなかった。年金はまったく考慮の対象外だった。今頃になってはじめて年金の利点を認識した。

 蓄えというものは使えば減っていく。あと何年生きられるのかわからないが、十年生きるのと二十年生きるのでは、資金が倍違ってくる。余命を読めない以上ぎりぎりの預金で老後を計画するのは難しい。不安が高まるばかりである。金がないから長生きできない。といったことににもなりかねない。

 これに対しては、年金は、一定額を生きている限り貰い続けることができる。余命を気にする必要はない。ありがたい制度だ。

 ただし、それだけで生活できる額をもらえる場合の話だ。年金だけでは足りなければ、蓄えを切り崩していかねばならず、結局余命の問題は解消されない。これがわたしの現状である。

 国民年金は払い込み期間のみに依存した定額制だが、厚生年金は払い込んだ額に比例する。払い込み額は収入に比例する。現役のころにたくさん稼いだひとが年金もたくさん受給する。

 わたしはこの収入が少なかった。現役のころは、少なくとも今を過ごせればそれで良いと思っていた。老後の年金にまで影響することには考えが回らなかった。

 大いに反省している。ただし、いくら反省しようとも、いまさらどうしようもない。取り返しの無いことをしてしまった。