腕の置きどころ

 歩きかたにぎこちなさを感じている。これは今に始まったことではない。それどころではなく、ぎこちなさに気がついてからすでに十年以上のときが流れている。十年経っても解決も改善もされていないことになる。

 そのぎこちなさの原因は腕にある。歩くときに腕をどうしてよいのかわからないのだ。なんだそんなことか、と思われるかもしれないが、本人は結構気にしている。

 荷物を持ったりして手がふさがっているときは問題ない。ところが、最近はほとんど、デイパックやショルダーバックを担いで出かけるので、両腕が自由になってしまうのだ。この自由になった両腕をどうすればよいのか悩んでしまう。

 腕を振って歩くのは苦手なようで、意識しているときは振っていても無意識になれば振るのをやめている。振るのをやめると、その腕の置きどころをさがさなければならない。気がつくと、胸の前で腕組みして歩いている。どうもこれが一番自然な姿勢のようだ。意識しないで歩くと必ず腕組をしている。

 それはちょっと、と思い、腕組を解いて振ってみたら、背中で手のひらを組んでみたりするのだが長くは続かない。気がついたときにはおなかの上で腕組みしている。

 おそらくこれは直らないんだろうな。寒くなって、ポケットに手を突っ込んで歩くようになれば腕組みはなくなるのだが。

 人間って、いろんなことで悩むんだな。


    ♪♪♪♪ 隠居開始まであと 157 日 ♪♪♪♪