立夏

 五月五日からは二十四節季の立夏です。しだいに夏めいてくるころです。あおあおとした緑、さわやかな風、気持ちいい五月晴れの季節です。

 七十二侯の立夏初侯は、蛙始めて鳴く。野原や田んぼで蛙が鳴きはじめるころです。

 暦日の五月五日は端午の節句。旧暦の五月五日は新暦の六月九日にあたりますが、さわやかさの点で新暦の五月五日のほうがぴったりのような気がします。旧暦ではじめじめした不衛生さをしょうぶで払い去る感じだったのでしょう。

 七十二侯の立夏次候は蚯蚓(みみず)出ずる。みみずが土の中から出てくるころです。ということですが、みみずの活動に季節性があることは存じあげませんでした。

 五月の第二日曜日は母の日。ことしは八日ですね。これはアメリカ渡来の記念日なので旧暦は関係ないでしょう。

 七十二侯の立夏末候は、竹笋(たけのこ)生ず。たけのこが、ひょっこり出てくるころです。ということになっているようですが、筍は随分前から出回っています。この時期だとちょっと遅すぎるかも。筍もグングン育ってしまって、おいしくなくなっているかも。

 京都下鴨神社上賀茂神社の祭礼、葵祭りは五月十五日です。旧暦五月十五日は新暦では六月十九日。これも、気候的には新暦の五月十五日のほうがよさそうですね。

 まあ、なにはともあれ、〝夏〟に突入しました。


  (出典)白井明大『日本の七十二侯を楽しむ』(東邦出版)