等々力渓谷

 間が空いてしまいましたが、九品仏のつづきです。七夕の日のことです。

 浄真寺のある九品仏駅から二駅歩くと等々力駅。自由が丘からもわずか三駅です。

 九品寺こと浄真寺にお参りしたあと、等々力渓谷を歩きました。町中の道路を下るといきなり渓谷が現れます。あまりにもあっけなく到達できるので、いきなり異次元の世界にスポッと入りこんでしまったような感覚に包まれました。

 ことしの梅雨は陽性のようで、梅雨入りしてから連日雨がふっています。それもシトシトではなくサーサーといった感じの振りかたです。等々力渓谷を歩いた時も雨がサーサー降っていました。

 町中からスポッと落ち込んだ谷底を歩きます。谷底をさらに削って川が流れています。という地形にいると、不意に鉄砲水の恐怖に襲われました。たしかに、ここで鉄砲水に襲われたらひとたまりもありません。ここ数日雨が降り続いており、また、いまも降っています。鉄砲水の心配は大いにあります。

 が、見方を変えれば、ここ数日降り続いているのだから、いまさら多少降ったところで急な増水はないとも言えます。とつぜんバケツをひっくり返したような雨が降らなければ大丈夫でしょう。そう思って歩くことにしました。といいながらも、いざというときの逃げから(高いところへの非難)を絶えず考えながらへっぴり腰で歩きました。

 遊歩道が終わる手前に小さな滝がありました。

 その脇を上ると小さなお不動様が祀られています。炎はちゃんと赤く塗られています。


 これが等々力不動、思ったよりちっちゃい。そう思いながら、お不動様の脇を上っていくと大きな建物が現れ、そこが本当の等々力不動でした。等々力不動はふつうの町中のレベルにあります。

 が、遊歩道はもう少し続いているので下へ戻りました。そこから行き止まり、終点はほんのわずかなのですが、その間に、粘土質のツルツルの道、濡れた砥石のようなところがあり、右足を左にスケーティングさせ、見事にスッ転んでしまいました。怪我はありませんでしたが、雨のぬかるみでドロドロになってしまいました。

 お不動様で終わりにしておけばこんなことにはならなかったのに。なにか罰当たりなことでもしたのだろうか。お賽銭は入れなかったなあ……。

→ この街あるきの様子は
  http://members.jcom.home.ne.jp/burari/ の
  断想集1046話 にもう少し詳しく書いています。