選挙

 選挙が行われることになってしまった。

 政権与党が自らの信を問うために(野党からつつかれたわけではなく)自らの意志で解散したらしい。

 で、その世に問う政策というのが〝消費税を増額することに決まっているが、しばらくはそれを据え置くことについての信任〟というのだからわかりにくいことこの上ない。

 据え置きに対する信任というのはつきつめれば、ずっと増税するせずに据え置くことに対する信任、または、(いまはしないけれど)いずれは増税することに対する信任、のどちらかになると思うのだが、そのことは不問とされている。

 〝いずれは増税するけれど、いましばらくは増税しないことをお許しください〟とうのが本当のところだろう。ところが、大前提の〝いずれは増税するけれど〟というところをしっかりと隠している。どうなんだろうね。

 それはさておき、この選挙。問われる政策以上に大問題がある。それは、与党を否定しようにも、その否定を受け入れる政党が存在しないこと。裏を返せば、だからこそ与党は選挙に踏み切ったのだろう。この選挙で過半数を取れば、政策に対する信任が得られたとしてグングンと突き進んでいくのだろう。集団自衛権や機密保護、原発再開、TPPなどもひっくるめて、信任されたものと言い張ることだろう。

 それにしても、情けないのは野党。そうみると、野田前総理のお手柄は見事なもの。本来なら反与党の受け皿となってしかるべき民主党を内部から完全に崩壊してしまったのだから。

 では、反与党の意志を選挙でどうやって伝えるのか。棄権や白紙投票という意見もあるがどうだろう。

 小選挙区は、与党以外の立候補者の中で、一番票を取れそうな候補者に投票するという手がある。この際、その候補者の政策は不問とする。多少気に入らないことがあっても眼をつぶる。与党候補者の得票率を下げる、あわよくば落選させる。ということが、反与党の意思表示となるだろう。

 比例区では、もっとも気に入った政策を持つ党に入れればよい。ただし、民主党は考えもの。先の野田政権は公約と真逆のことをやってきたのだから、言っていることがまったく信用ならない。こういった点でも、野田前総理は民主党崩壊に関して大手柄を立てたことになる。褒められたことではないけれど。