スローモーション

 ちかごろ、スローモーションで転ぶことが多くなった。いや、これを転ぶといってよいかどうかわからいが、結果としては尻餅をついたり、べしゃっと倒れていたりする。

 歳を取ってからのできごとである。

 バランスを崩したり、姿勢を保てなくなって、徐々に体勢が崩れていく。この〝徐々に〟というのがポイント。

 つまり、このまま行けば倒れてしまうことはわかっている。立て直すこともできそうだ。

 とういうことがわかっていながら、どうしようもないのだ。足を送りたくとも足が出ない。筋力が足りなくてからだの傾きを戻せない。

 そんなこんなで、おっとっと。ゆっくりゆっくり、スローモーション再生のごとく転んでしまう。

 笑い事ではないのだが、自分でもユーモラス。でも、恥ずかしい。