大寒

 二十四節季の大寒。旧暦では最後の節季です(年によって立春が旧年になることもありますが)。もちろん、一年でもっとも寒さが厳しいころです。いっぽうで日がしだいに長くなり、春へ向かう時期でもあります。寒いとはいえ、三寒四温という春の予兆もあります。

 七十二侯大寒初侯は、款冬(ふきのとう)花さく。蕗の花が咲きはじめます。凍てつく地の下で、春の支度が着々と進んでいます。二十日正月は、正月の祝い納めの日。赤貝、小松菜が食べごろです。南天が実をつけ、あおじが里へ下りてきます。二十四日は初地蔵。

 次候は、水沢腹(あつ)く堅し。沢の氷が厚く張りつめるころです。が、「春隣(はるとなり)」という言葉もあります。春はそこまで来ています。わかさぎ、水菜が食べごろです。じょうびたきが鳴き、福寿草が花をつけます。

 大寒末候、すなわち七十二侯最後は、鶏始めて乳(にゅう)す。鶏が卵を産みはじめることです。一年中生んでいるような気がするのですが、産卵期があったのですね。いよいよ節分です。めひかり、金柑が旬です。三十一日は正月の最後ということで、晦日正月、晦日宵、晦日節などと呼ばれます。

  出典 白井明大・在賀一広『日本の七十二候を楽しむ』(東邦出版)