夏至
冬至に始まる太陽太陰暦の折り返し点、すなわち冬至の真反対の夏至である。夏至とは、昼の時間が一番長い特定の一日であると同時に、二十四節気のひとつでもある。
夏至がくればいよいよ夏の始まりである。ということなのだが、あれっと思ったのは、二十四節気には梅雨が入っていないこと。大きな気候が抜けているような気がするのだが。それはさておき、
七十二候の夏至初侯は「乃東枯る」。「なつくさかれる」の意味のようだ。うつぼぐさの花穂が黒ずんで枯れたように見えるころ。ちょっと待って、乃東がうつぼぐさなの? 言葉も実物も馴染みがないけれど。
鮎や夏みかんが旬。また、梅雨の季節に吹く湿った南風を「流し」というそうだ。ん? 梅雨も夏至の一部なのだろうか?
次候は菖蒲花咲くころ。菖蒲には「あやめ」と仮名が振られています。菖蒲、あやめ、カキツバタはちょっとずつ違う花らしいのだが。
晴耕雨読もこの時期のこと。やっぱり、梅雨は夏至の一部なのだ。そして、かんぱち、みょうがが旬。初夏のころ、あおあおとした木々の葉に振りたまった雨がぱたぱたとおちてくることを青時雨(あおしぐれ)というそうです。名越しの祓(なごしのはらい)という罪や穢れを落とす行事もこのころ。この行事も知りませんが。
末候は半夏生ず。半夏生(はんげしょう)が生えはじめるころ。我が家の近くにも半夏生の群生地があり、普段は入れないのだが、この時期になると開放される。
はも、おくらが旬で、山鉾が巡行する八坂神社の祇園祭もこの時期。なお、祇園祭は一ヶ月続くそうです。これまた知りませんでした。
出典 白井明大・有賀一広『日本の七十二候を楽しむ』(東方出版)