残り時間

 子どものころ時間は無限にあった。時間が足りなくて何かができない、などということはまったく念頭になかった。

 受験勉強を始めると、持ち時間という概念ができてきた。あれもこれもはできない。できるだけ効率的にまんべんなく勉強しなければならない。時間の有限性を感じるようになった。

 が、これも受験勉強だけの話、受験という決められた期日までの残り時間である。

 歳を取れば、当然ながら人生の残り時間が具体的に勘定できるようになってくる。わたしの場合、あと二十年くらいと思っている。もっとも、あと二十年と思い始めてすでに五年ほど経っている。ちゃんと引き算すればあと十五年である。けどまあ、それはそれ。毎年減らしていっては心細くなるばかり。しばらくはあと二十年でよいとしよう。

 その二十年、は具体的にはどれくらいの時間なのだろうか。ということで二十年前を思い出してみる。それからきょうまでの二十年。はたしてどれくらいのことがあったのだろうか。かなりいろいろ有ったようでもあり、はたまた、さしてたいしたことなくあっさり過ぎてしまったようでもあり。

 これから先もたいしたことなくあっさりの二十年だったら大変だ!