新暦、旧暦

 季節の行事を楽しもうと思ったのだが、最初からつまずいてしまった。新暦と旧暦への対応のしかたについて迷ってしまったのだ。世間とのズレなどについては棚上げしても、個人の中でとまどってしまう。

 たとえば、元日は1月1日である。季節感を伴う正月を味わうなら旧暦であろう。新暦で言うなら二月十日ごろであろうか。あるいは、旧暦はなきものとして、あくまでも1月1日という日付を重視して、新暦の1月1日に祝うほうがよいのだろうか。

 新暦の1月1日は旧暦では十一月である。まだまだ小寒の候である。これから大寒が来て、立春となる。

 まあ、このあたりは個人的に割り切ればよい。が、ややこしいのは、春分秋分夏至冬至など。これらは、新暦、旧暦にかかわらず、天文学的に決められている。ということは、旧暦に近いのだろう。

 そして先の立春。これは旧暦の日にちをそのまま新暦に置き換えているようだ。ややこしい。

 新暦では、正月があって、小寒大寒、そして立春となる。旧暦では、小寒大寒は前年末で、立春から新年がはじまる。年の始めの正月は立春である。

 新暦の1月1日を正月とするなら、なぜそこを立春としないのか? 1月1日を立春とすれば、一二ヶ月おくれで季節がやってくるので、雰囲気はでないものの、それなりに気分がでなくもない。旬の先取りに命をかける江戸っ子なだそれもまた良し、かもしれない。

 正月は有無をいわせず新暦の1月1日、立春新暦上の旧暦の暦日とし、春分夏至などは天文学。となると、なんともややこしくこんがらがってしまう。

 ああ、ややこし。…………、ん? ちょっと待てよ。あっ、そうかぁ……。わかった!

 変則は正月だけなんだ。新年のはじめを正月とするから、ごっちゃになってしまうんだ。

 新暦の1月1日を正月ではないと考えてみる。そして、旧暦で考える。すると、旧暦の1月1日
が正月、立春。そして春分の日があり、夏至になって、秋分、そして冬至小寒大寒がきてまた正月。これですべてうまくいく。

 ということは、旧暦から新暦を求めて、元日は二月十日、などとそこに行事を当てはめていけばよいのだ。そして、新暦の1月1日は、本来の正月とは別の、新年として楽しめば良い。つまり新旧二回の正月を楽しんで、あとは旧暦でやっていけばうまくいきそう。季節感も合うし、それが良い、それが良い。ことしはそれでいってみよう。