マイ・マイブーム

 世間的なことはどうあれ、自分自身が夢中になっていることをマイブームというらしい。なのでわたしのマイブームはマイ・マイブーム。切る場所を間違えると、マイマイ・ブームとなって蝸牛みたいになってしまいます。

 マイ・マイブームの始まりはロケットの設計。ギヤとカムによる完全に機械的(電子はおろか電気技術も使用しない)ロケットを設計していた。朝から晩までカレンダーの裏にかいていた。始めたのは小学校の低学年のころ。終わったのは……、覚えていない。

 忍術。麻のタネを蒔いて出てきた芽を毎日飛び越えていれば超人的な跳躍をできるようになるといわれ、半分くらい信じていた。芽はちょっとずつ伸びるので毎日それを飛び越えるのは難しくないはず。ちょっとずつだが、そのうち麻は背丈より高くなる。それを飛び越えることができるようになる(はず)。残念ながら実行が続かず成果を得ることはできなかった。

 世界一周。渡航制限のあったころ。世界一周のルートを地図の上にあれこれ描いていた。毎日毎日飽かずに描いていた。高校生のころである。その後、気軽に海外へ出かけられるような時代が訪れたが、外国はおろか国内旅行すらほとんど経験しないまま、一生を終えてしまいそうだ。

 成人してからは、乾燥アジア史、アメリカ史、イギリス式生活。ブーム到来前のグルメなどに、一時期夢中になり、いずれ醒める。

 そして寄生虫。花粉症などのアレルギーに対する寄生虫の効能を得意になって説いていた(むろん、請け売りだが)。

 いまも続いているのが街あるき、ポタリング、そしてひなたぼっこ。

 これでおしまいだろうか。それともこの先さらにあらたなマイブームが訪れてくるだろうか。おとずれて欲しい。バカバカしいことであろうとも、夢中になるのは楽しいものだ。