手帳

 早いもので来年の手帳が出始めている。

 最初は会社が支給される、社名入りの能率手帳を使っていた。この頃は何も考えずに使っていた。

 その後、知的生産ということに大いに興味を持つようになり、その最たるものが手帳であった。

 が、お金がもったいないこともあって最初は手作りしていた。A5サイズのちょっと上等なルーズリーフを買い、当時ようやく実用に則しはじめたパソコンで用紙をつくり、印刷し、運良く探し当てた穿孔機で26穴をあけて使っていた。色々なものをバインダーに綴じ込む工夫も重ねた。

 が、そのうち、外国の既製品には自作をうわまわるリフィルがあることを知り、そちらに移行した。人気があったのはバイブルサイズのファイロファックスであったが、へそ曲がりのわたしはそれではなく、A5サイズのタイムシステムを利用した。かなり高い革製のバインダーも買った。年間・毎月・毎日のリフィルを購入していた。セットで一万円を超える。が、抜群の使い良さがあった。紙の質とか印刷の質は手作りではとても太刀打ちできず、高額の出費も認めざるを得なかった。

 データベースも充実していった。いっぽうで、要らないものは極力外すようになった。なにしろ鞄が重くって。

 とにかくスケジュールも資料もこれなしではやっていけなくなってしまった。

 その後、転機が訪れる。転職、その実態は左遷によって代わった先の仕事はさほど複雑ではない。少数の業務が走るだけである。また、持ち歩く資料もほとんどない。となれば重たいタイムシステムを持ち歩く必要がなくなってくる。

 ということで、こんどは簡単な超整理手帳を使うことにした。この手帳を選んだのは、月間予定表が蛇腹式になっていて予定を一望することができるのと、A4の資料をそのまま折り畳んで挟み込めるから。あたらしい環境ではこれで十分であった。

 そして、リタイアとともに手帳から離れた。

 リタイアからサブリタイアに戻ったとき、手帳の必要性はあまり感じなかったが、なんとなく不安だったので、前々から気になっていた文庫本の手帳を買ってみた。

 結果は持って歩くだけで、まったく使わなかった。なので一年で止めてしまった。それ以降、手帳は使っていない。

 いや、スケジュール管理がまったく不要というわけではない。スケジュールはパソコンのエクセルで管理している。縦に日付を打ち、横にその日のスケジュールを書いている。完了したものは色を変え、やり損なったものは次の日へカット・アンド・ペースト。並び替えも簡単にできるし、けっこう具合がよい。欠点は持ち運べないことだが、今の環境ではその必要はまったく感じられない。

 このまま最後/最期まで行くのかな。いや、その前に、スケジュールなどといった認識がなくなってしまうでしょうね。