ご来迎

 仏教の世界では、ひとが死ぬと、死んだ人の魂をのせる蓮台を持った観音菩薩と静かに合掌した勢至菩薩を従えた阿弥陀如来が山の向こうから迎えに来るという。このとき、雲に乗った25体の雲中供養菩薩が楽器を奏でたり歌をうたったりと、とてもにぎやかに迎えられるとのこと。これをご来迎という。

 いいなあ。これは是非経験してみたい。できれば、死んでからではなく、死の間際、まだ生きているうちに迎えに来て貰いたい。お迎えが来て、それに従うことによって死に至る。そんな順番であって欲しい。

 そうなれば、穏やかに、そして幸せにみちた顔つきで死んでいけるだろう。

 ときどきそんなことを妄想する歳になってしまった。