人生下り坂

 人生を坂道に喩える。

 生まれてから、ずっとずっと、とにかく上り続ける。坂を上るのは厳しい。体力も精神力も要求される。

 辛い坂を上り続けた。わたしの場合はたいして高い坂ではなかったが。それでも、長い年月、ダラダラとではあるが、絶えず上り続けた。

 そしてようやく峠を越え、下り坂である。下りというとマイナーなイメージを抱きかねないが、そうではない。自転車なら漕がずに走ることのできる、楽ちんで快適な道のりである。

 わたしの場合、坂が高くない分、下りも短い。せっかく愉しい下りなのだから一気に降りてはもったいない。できるだけゆっくりと、スピードを抑えて、ゆっくり長く下り続けたい。下りはあまりエネルギーを要求されないから、年寄りでも(欲をこかなければ)さしたる苦労の無く走り続けることができる。

 とまあ、たとえ話はわりとうまくまとまるのだが、だからといって、実用的ではないのが玉に傷。現実はなかなかそうはまいりません。ぎゃふん!