リス

 近ごろ我が家の周囲で聞き慣れぬ泣き声を耳にするようになった。キキキッという鋭い鳴き声である。泣き声のあとでパタパタと走り回る足音が続く。

 ようやくその正体を突き止めた。庭の樹や屋根を上をリスが走り回っているのを目撃した。

 鎌倉に台湾リスが生息するようになったという話を聞いたのはいつのことだっただろう。どうやらそのリスが我が家のあたりまで南下してきたようだ。鎌倉のリスは猫などの攻撃を避けるために「ワンワン」と犬の鳴き声を真似するようになったと伝えられており、また実際にそのような鳴き声を耳にしたこともある。こちらのリスの泣き声はそこまでいっていないようだ。なので、猫だかカラスだかに追われてパタパタ走り回っているのかも知れない。

 そうこうしているうちにとうとうリスの轢死体を見かけてしまった。車に轢かれ横たわっている死体を見ると、なるほど尻尾が大きい。ふさふさと柔らかそうな尻尾がからだの半分を占めているかのようだ。

 さて、このリスの繁殖や南下について、環境的にはどう解釈すればよいのだろう。リスという見た目可愛らしい動物を身近に見かけるのは心理的には好きことにように感じられるが、はたしてその実態やいかに。