あの世の年齢

 あの世というものがあるとして……、

 あの世には過去になくなったすべてのひとがいる。ありとあらゆる時代の、ありとあらゆる地域のひとが一堂に会している。これはちょっと想像しがたい状況である。異なる時代の、異なる地域のひとが一緒になるってどういうことなのか想像できない。

 そして気になるのは、あの世のひとたちの年齢である。たとえば、九十歳で亡くなった人は、何歳のときの姿であの世にいるのだろうか。

 亡くなったときの年齢なのだろうか。だとすれば、あの世は病人だらけになってしまう。認知症患者の比率はものすごく高くなるだろう。そして、自分もまた、瀕死(?)の重病人もしくはぼけ老人として行く可能性が高い。それでは、なつかしいひとやあこがれのひとにあってもなにもわからないだろう。

 それとも人生の絶頂期の姿でいるのだろうか。それはそれで楽しそうだが、よくよく考えてみれば変なところにいきついてしまう。それは、それからあとの人生はどういった位置づけになるのだろうという疑問。いいたくないが、切り捨て可能な無駄な人生、余生ということになるのだろうか。

 あるいは、本人の意志あるいは見えざる力によって変幻自在に年齢が変化するのかも知れない。これはこれで落ち着かないなあ。

 まあ、あの世の話だから、どうでもいいとは思うけど。