わたしより長生き

 最近妙なことに気がついた。

 通りですれ違う人、同じ電車に乗り合わせた人、信号待ちしている人、スーパーで物色している人、……。ざっと眺め渡すと、わたしより若い人のほうが圧倒的に多いことに気がついた。

 年齢別の人口構成を見れば、なんら不思議ではないが、それを実感するのは、グラフを眺めるのとは重みが違う。

 何例構成グラフの明らかに上の方にいる。上から四分の一くらいのところにいる。わたしより上の人口の構成比はどれくらいであろうか。もっとも、高齢化が進む世の中、以前よりは比率が増えているけれど。

 それでも、実際に見る人のほとんどが私より若い。ということは、彼らよりもわたしのほうが先に死ぬ。わたしより先に死にそうな人は数多くは見かけない。

 そんなことを実感すると、なんとなくむなしく、悲しくなってくる。

 遊びにきた孫を眺めていると、彼らはわたしが死んだ後も、まだまだ、わたしの知らない世界で生きていくのだ。見届けてやりたいのだが、叶うはずのない願いである。そう思うと、やりきれない気持ちになる。

 寿命とは無情なものである。