嫌な時間がさらっと過ぎていく、ということは……

 嫌な時間、つまり勤務時間がここへ来て、あっさりと過ぎていくようになった。多少なりとも知識が増え、慣れもあり、また耐性も増加した結果のようだ。泳ぎかた、時間の過ごしかたも少しづつ身についてきた。その結果、苦痛度は減少し、また退勤後にまで気持ちをひきずるようなこともなくなってきた。

 というと良いことずくめのようだが、ちょっと待った。嫌な時間がさらっと過ぎると言うことは、そのまま、人生の残り時間がさらっと減っていくことでもある。前者は好ましいことだが、後者は困る。

 絶対に両立はしない。さて、どうしよう。

 嫌なことを嫌でなくする、とか、嫌なことはやらない、というのが解かもしれないが、それは机上の空論のような気もする。